医療技術の進歩や高齢化社会のニーズの変化に対応するため、訪問看護師のスキルアップが求められています。本記事では、訪問看護師のスキルアップと資格について考えてみたいと思います。
訪看に役立つ資格って何?
訪問看護師に役立つ資格13選、研修に加えスキルアップに関するトピックスもご案内していきます。
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この記事で分かること
訪問看護師とは?
訪問看護師は、病院やクリニックではなく、患者の自宅を訪問し、必要な看護ケアを提供します。日本は急速に高齢化が進む社会となっており、在宅医療や訪問看護の需要が高まっています。その中で活躍する訪問看護師は、患者さんの生活状況に合わせた看護やアドバイスを提供し、在宅での生活を支えています。
訪問看護師の役割
・病状の管理
・薬の指導
・心のケア
・家族への介護指導
・家族への管理指導
→病状に応じたケアの提供だけでなく、家族への指導や地域との連携も含まれます。
訪問看護師に必要なスキルと知識
訪問看護師として必要なスキルは多岐に渡ります。医療の知識はもちろん、コミュニケーションスキルや問題解決能力、自己管理能力なども求められます。また、患者の自宅を訪問するため、プライバシーを尊重する態度も必要不可欠です。
ケアマネのプランや医師の指示内容で訪問時ケアを実施するけど、体調に変化があった際は結構焦る・・。
過去の経験を活かし、アセスメント実行をいかに迅速にできるかがポイントね!
訪問看護師の日々の業務
訪問看護師の日々の業務は、患者の健康状態のチェック、ケアの実施、家族への指導など多岐に渡ります。
ケアの実施ってどんなこと?
保清、褥瘡処置、胃ろう管理、口腔ケア、尿カテ管理など一般的な日常ケアだね。
ケアマネが保険点数の管理をしてるから、訪問業務の報告を逐一する必要があるけど、これが大変・・
訪問看護ステーションと病院、地域のケアネットワークとの連携も重要な業務の一部となります。
訪問看護師のスキルアップ方法
医療技術の進歩と社会状況の変化に対応するため、訪問看護師は常にスキルアップを求められます。では、どのようにスキルを高めていけば良いのでしょうか。
専門的知識の習得
訪問看護師に必要な知識は広範囲に及びます。これらの知識を得るためには、定期的な研修や自己学習が欠かせません。最新の医療技術やケア方法を学び、日々の業務に生かすことが重要です。
各家庭での違いに柔軟に対応できることも大切です。
コミュニケーションスキルの向上
訪問看護師は、患者や家族、地域の人々とのコミュニケーションが不可欠です。良好な人間関係を築くためには、リスニングスキルやエンパシー(他者への共感)が求められます。これらのスキルを高めるためには、コミュニケーション研修を受けることや、実際の現場での経験を積むことが有効です。
家族への指導が多く、簡単に分かりやすく伝えられる技術が必要です。最初は先輩のマネをしていました。
新たな資格取得のメリット
新たな資格を取得することで、看護師としての専門性を高め、キャリアアップを図ることができます。また、資格を持つことで、自身のスキルを証明し、信頼性を向上させることもできます。
訪問看護師のスキルアップ資格13選
訪問看護師の役割は多岐にわたり、幅広いスキルセットが求められます。
訪看に役立つ資格13選
1.認定看護師(訪問看護分野)
2.専門看護師(家族支援分野・在宅看護分野)
3.日本褥瘡学会認定士
4.ケアマネージャー(介護支援専門員)
5.認知症ケア専門士
6.終末期ケア専門士
7.リンパ浮腫療法士
8.慢性腎臓病療養指導看護師
9.回復期リハビリテーション看護師
10.特定看護師
11.おむつフィッター
12.家族相談士
13.呼吸療法認定士
訪問看護師に役立つ資格13選をご紹介します。
資格がなくても全く問題はないけど、1人で訪問して1人で判断する知識は必要。
専門知識があれば対応も早いし、状況把握・アセスメントから医師への報告・相談がスムーズになるよね。
そのためにも資格は必要と思ったことはあるな〜
1.認定看護師(訪問看護分野)
認定看護師とは、日本看護協会が実施している資格で、特定の看護分野における専門性を証明します。訪問看護分野の認定看護師を目指すには、一定の看護経験とともに、訪問看護に関する専門的な知識やスキルを有することが必要です。この資格を取得すると、専門性を認められ、訪問看護の質を向上させることができます。
2.専門看護師(家族支援分野・在宅看護分野)
専門看護師は、特定の領域で深い知識と高度な技術を持つ看護師を指します。家族支援や在宅看護分野の専門看護師は、患者だけでなく家族全体の支援や在宅での看護を適切に行うことができます。これらの資格を取得するには、一定の実務経験とともに、専門的な教育プログラムの修了が必要となります。
3.日本褥瘡学会認定士
日本褥瘡学会認定士は、高齢者や長期臥床患者の多い訪問看護の現場で重要な役割を果たします。褥瘡(床ずれ)の予防や治療に関する専門的な知識と技術を持つ人材として、日本褥瘡学会から認定を受けています。
病院でも在宅でも褥瘡ができる原因は同じよね。
けど、在宅では家族の協力が必須なのに知識がないから、悪化、長引きしやすくて・・。だから、積極的な介入が必要。
4.ケアマネージャー(介護支援専門員)
ケアマネージャーは、高齢者や障害者の在宅生活をサポートする役割を果たします。取得には介護業務に関する実務経験や、介護保険法に関する知識などが必要です。
ほとんどのケアマネが医療職でないため、利用者への的を得てないケアプランがあることも・・。
看護師の立場なら何が必要か優先順位を考えて、より快適な在宅支援ができるね。
訪問看護師がこの資格を取得すると、より包括的なケアプランの作成や実行が可能になり、患者や家族からの信頼も得やすくなります。
5.認知症ケア専門士
認知症ケア専門士は、認知症の人々のケアに特化した資格です。認知症に関する深い理解と、ケアの経験が求められます。
家族は本当に対応が大変だと思います。
訪問看護師がこの資格を持つことで、認知症の方々への適切なケアやその家族への支援を行うことができます。
6.終末期ケア専門士
これは終末期ケアに特化した看護師の資格で、生命の最終段階にある患者とその家族を支援します。患者や家族が終末期の人生を安心して過ごせるよう、緩和ケアや看取りの知識と技術を有する看護師を指します。
終末期の患者さんは本当に辛そうで、その姿を看る家族も辛くて不安が大きいもの。
看護師がこの資格を持つことで、病院だけでなく在宅での終末期ケアも可能になります。
7.リンパ浮腫療法士
リンパ浮腫療法士は、リンパ浮腫の患者の治療とケアを専門とする資格です。リンパ浮腫の症状の進行を遅らせ、患者のQOLを改善するために必要なケアを提供することができます。リンパ浮腫治療に関する深い知識と技術を必要とします。
8.慢性腎臓病療養指導看護師
慢性腎臓病の患者に対する指導とケアを専門とする看護師の資格です。食事や薬物療法、透析治療等の指導を行い、患者の生活の質を改善します。慢性腎臓病に関する知識と指導能力が必要とされます。
9.回復期リハビリテーション看護師
患者が元の生活に戻るためのリハビリテーションをサポートする看護師の資格です。患者の回復を助け、自己決定や自己管理能力を向上させるためのケアを提供します。回復期リハビリテーションに関する知識と技術が必要とされます。
10.特定看護師
特定の疾患や状況に特化した看護ケアを提供する看護師の資格です。特定看護師の資格は多岐にわたり、その一部にはがん看護師や糖尿病看護師などがあります。それぞれの疾患や状況に関する専門知識と経験が必要とされます。
11.おむつフィッター
おむつフィッターは、尿失禁や便失禁を持つ患者に対して適切なおむつの選択とフィッティングを提供する看護師の資格です。この資格を持つと、患者の身体的な快適さと尊厳を維持するための援助が可能になります。
おむつって難しい!?
・少しでもシワになると不快感あり。
・しめすぎると痛く、緩いとズレる。
・尿や便が漏れると後処理が大変。
→ 結果的に時間がかかるけど、ポイントがわかればスムーズに対応可能。
この資格は、尿失禁や便失禁に関する知識と、おむつのフィッティング技術の習得を学びます。
12. 家族相談士
家族相談士は、家庭の問題や困難に直面している人々に対してカウンセリングや支援を提供する専門家です。一般社団法人 家族心理士相談士認定機構により2023年4月の段階で2,321名が認定されています。家庭内のコミュニケーションの改善、問題解決のアドバイスなどを行い、家庭の健全な関係を維持するための助けとなります。
13.呼吸療法認定士
呼吸療法認定士は、呼吸困難を持つ患者に対して専門的なケアを提供する看護師の資格です。この資格を取得するには、呼吸療法に関する知識と技術、および一定の実務経験が必要です。
痰を出したくても、呼吸筋の低下で出せない人が多い。
それは肺炎リスクもあるから、有効な排痰方法を知りたいわね。
看護師の資格取得により、呼吸リハビリテーションの提供や、患者の自己管理能力の向上支援が可能です。
訪問看護師のスキルアップ研修
訪問看護師に役立つ研修についても、いくつかご案内していきます。
訪看スキルアップ研修
1. 特定行為研修
2. 精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした研修
3. 訪問看護ステーション管理者育成研修
4. 精神障がい者の在宅看護セミナー
1. 特定行為研修
特定行為研修は、看護師が訪問看護の現場で適切なケアを提供するために必要な特定の行為を学ぶ研修です。これには、カテーテルの挿入や薬剤の投与などが含まれます。この研修を受けることで、患者の在宅ケアの質を向上させることができます。
2. 精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした研修
精神科の訪問看護に特化した研修です。精神疾患の患者やその家族のケアを支援するための知識と技術を学びます。研修に参加することで、精神疾患に関する理解を深め、これらの患者に対する看護の質を向上させることができます。
3. 訪問看護ステーション管理者育成研修
訪問看護ステーションの管理者として必要なスキルを学ぶ研修プログラムです。スタッフの管理、業務の効率化、看護品質の向上など、管理者として必要な知識と技術を習得します。これにより、訪問看護ステーションの運営を円滑に行い、看護サービスの質を向上させることが可能になります。
4. 精神障がい者の在宅看護セミナー
精神障害を持つ人々の在宅ケアを支援するためのセミナーです。精神障害についての理解を深め、彼らの生活を支えるための具体的なスキルやアプローチを学びます。このセミナーに参加することで、患者とその家族の在宅生活の質を向上させることができます。
これらの資格と研修は、訪問看護師のスキルアップに役立ちます。それぞれが提供する知識と技術は、患者の在宅ケアを支援し、その生活の質を改善するための重要なものです。それぞれの資格や研修には特定の条件がありますので、取得や参加を検討する際は、それぞれの詳細を確認してください。
私の体験談:訪問看護師のスキルアップ資格取得まで
私自身が訪問看護師として働いていた時、自己のスキルアップの重要性を日々実感していました。新たに疾患の知識を学んだり、コミュニケーションスキルを磨いたりと、学びの機会は多く、それらは全て現場での対応力を高めるものです。
特に印象深いのは、認定看護師(訪問看護分野)の資格を取得したことです。老年看護の専門家として認定されたことで、自分自身のスキルが客観的に評価された感覚がありました。また、その専門知識が患者やその家族からの信頼を得る一助となり、私の訪問看護師としての役割を一段と充実させました。
しかし、認定看護師を得るまでには時間と努力が必要です。新たな知識を得ることは楽しい一方で、そのための勉強や研修は決して楽なものではありません。それでも、それらを通じて得たスキルや自分のメンタルは計り知れず、訪問看護師としての大きな自信となりました。
Q&A:訪問看護師のスキルアップ資格に関して
ここでは、訪問看護師のスキルアップや資格取得についてよくある質問とその回答をご紹介します。
Q 資格取得のための費用は自己負担ですか? |
A これは勤めている機関や地域によります。一部の機関では、資格取得にかかる費用を補助してくれるところもあります。自己負担が必要な場合でも、取得した資格は長期的なキャリア形成に寄与するため、投資と考えることもできます。 |
Q 資格取得は訪問看護師のキャリアにどのように影響しますか? |
A 資格を取得することで、その分野の専門家として認識され、より高度なケアを提供できるようになります。これは患者やその家族からの信頼を得るだけでなく、キャリアアップにも繋がります。 |
Q スキルアップのためにはどのような研修が有効ですか? |
A 疾患の知識を深める研修や、コミュニケーションスキルを高める研修などが有効です。また、実際の現場での経験を積むことも大切です。 |
まとめ:訪問看護師のスキルアップ資格13選
資格を取得することは、自分自身の成長だけでなく、患者やその家族からの信頼やより早く最適なサービスの提供が可能になります。
私が実務経験より特に欲しいと思った資格を、赤字で表示してみます。
訪看に役立つ資格13選
1.認定看護師(訪問看護分野)
2.専門看護師(家族支援分野・在宅看護分野)
3.日本褥瘡学会認定士
4.ケアマネージャー(介護支援専門員)
5.認知症ケア専門士
6.終末期ケア専門士
7.リンパ浮腫療法士
8.慢性腎臓病療養指導看護師
9.回復期リハビリテーション看護師
10.特定看護師
11.おむつフィッター
12.家族相談士
13.呼吸療法認定士
特にケア専門や褥瘡などの資格は、訪問看護師としてのキャリアを一段と高めるために有効です。これらの資格取得には時間と努力が必要ですが、それに見合う価値があります。
というわけで今回は以上です。
→転職専門の企業による看護師転職エージェント